社会や業界の動き
INFORMATION 社会や業界の動き
肺がん死確率、鉄骨工3倍 産医研調査、石綿作業関連か(朝日新聞 10月23日より)
2004-10-27
ビル解体などでアスベスト(石綿)作業を請け負う鉄骨工が肺がんで死亡する確率は、日本人の平均の3倍近いことが、独立行政法人産業医学総合研究所の久保田均研究員らのグループが約1万7000人を追跡した調査で分かった。
近畿地方のある県の建設国民健康保険組合に70~93年に1年以上在籍した男性組合員1万7666人を追跡。73~99年に死亡した1466人の職種と死因を分析した。
鉄骨工は966人のうち11人が肺がんで死亡しており、各職種、死因の中で、この確率だけが日本人平均の2.88倍と飛び抜けて高かった。関連職種の溶接工の肺がん死亡確率は、日本人平均と有意の差はなかった。
一方、鉄骨工と溶接工の作業を比べるアンケートでは、回答を得た398人のうち、鉄骨工を経験した202人は85%が建物解体、断熱材の取り付けや除去、石綿吹きつけなど、石綿を吸い込みやすい作業をしていた。溶接工のみ経験の142人で、これらの作業をしたのは42%だった。研究グループは、鉄骨工の肺がん死には石綿の影響が疑われるとしている。
久保田研究員は「経費節減などで適切な対策がとられない例や、労働者も危険を軽視する傾向があるが、認識を改めてほしい」と話している。